読書日記:橋下徹 堺屋太一共著 体制維新―大阪都
最近橋下大阪市長の発言がことのほか取り沙汰されている。市交通局の市バス運転手の平均年収739万円のおよそ4割を削減すると言ったり、何かとやることがドラスティックである。参議院廃止、首相公選制、国民背番号制、国民総確定申告制、TPP参加、保険料強制徴収、大阪教育基本条例改正、公務員身分制の廃止、道州制、地方交付税廃止、地方分権型社会への移行(ひいては道州制)、決定できる民主主義へなどが、船中八策ならぬ維新八策の基本骨子である。結局何がやりたいのかわからなかったのでこの本を読んだのだが、要するに橋下市長がやろうとしているのは明治維新のようなことで、それはつまり版籍奉還としての公務員身分制の改革と廃藩置県としての大阪都構想・道州制だということが分かった。なるほど。橋下市長の譬え話で言えば、リンゴの果実ではなく、そのリンゴの木の土壌を作り直すということらしい。政策ではなく、制度そのものの変革。あれれ、これって革命とちゃうの?どうやらそんな凄いことをやろうとしているらしい。個人的見解では、公務員身分制廃止や地方分権は基本的に賛成。ただ公務員はその仕事の性格上どうしても長期雇用が望ましく、民間ほど雇用の流動性は高くするべきではないと考える。また地方分権は逆に閉鎖的な専制・独裁体制を生みやすく、それに対する住民の拒否権が絶対的に確保されることが条件となる。いかなる代案もなかったとしても“ただイヤだ、だが断る”と過半数が背を向けた時点で、取り止めることのできる安全装置が必要だ。それは、参議院廃止や首相公選制などの国政においても同様である。拒否権に代案など必要ないのである。住民はその特権を政治家に譲り渡してはならない。また石原都知事と組む可能性もあるようなので言っておきたいのだが、自衛隊を国軍と名称変更するのは改悪である。自衛隊(Self Defence Force)は軍隊(Army)よりも優れて進化した組織であって、侵略戦争を名称のうちに含ませる“国軍”は過去の遺物、現状の国際政治の中で口にできる代物ではない。自衛権の名の下においてのみ武力行使する、そのこと以外何を言えよう?だから自衛隊という名称が相応しく、優れているのだ。憲法9条も似たようなもので、現実とかけ離れていようが理想としてはどの国も納得できる、というよりどこの国が侵略戦争しますと今時口にできると言うのだ?だから集団的自衛権のみが議論の俎上にのるのである。外務省はもっと他国に向かってこのことをはっきりと言うべきだと思われる。核兵器も同じ。どうせ減らせとしか言えないものを今更持つ必要はないのである。持たなきゃやられるなら、持たずにやられないようにすることを全身全霊身を粉にして考え抜くべきなのだ。他国(特にアジア圏)からの信用と尊敬はそこからしか生まれない。大阪都構想については、実験的にやってみる価値はありそうだ。それがうまくいったのなら、橋下市長の言う道州制は面白そうだ。こんな何も変わらず停滞しきった世の中をひっくり返してほしい。ただし絶対的拒否権、安全装置は手放さない。うまくいかなけりゃお役目御免、とっとと元に戻して退場してください!!
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